ほんの粗発表ですが

言語学フェス2021参加記録

 

参加した経緯:「途中段階でもいい。悩み相談でもいい」「学部生や部外者も発表者としても参加できる。ハードルは高くない」

ふむふむ。とかなんとかいいつつ、めっちゃ高度な発表ばっかでせっかく冷やかしに来た人や初心者がおそれをなして帰ってしまったら残念だ。そういう人も気楽に見られるもの枠なら、参加できるのではないか。大人の自由研究的なノリでよければ。

 

「研究発表は議論する枠。このほか研究紹介などゆるい話題も発表できる枠がある」

ここは敢えて、研究発表へ。なぜなら、これからやります、やれたらいいな、とちょっと気にかけているだけの研究なので、紹介できることがなく、何をしたらいいのかこれから考えるから。

 

準備:前々日まで仕事で忙殺され、実質2日。材料はデータとしてはまだ外に出せない録音といくつかの観察記録。ポスター発表の経験なし。1年前にポスターをやるはずだった研究会は、コロナで中止になっていた。主催者の出してくれている雛形のみダウンロードし、サンプルを見るとA4を並べていける感じ。なんとかなると見て見切り発車。今年1年コロナのせいでほぼ休みなく授業スライドを量産してきた経験から、未経験でも2日あればポスター1枚は必ずできるという確信があった。そこに焦りはなかった。「途中経過で良い」というお墨付きもあった。

 

当日:開始直前にポスターを貼ってなんとか開始。前半は自分のコアタイムではないので色々見に行くべきところ、トイレにこもってしまったため全くどこにも行けず。

 

コアタイム開始はまだトイレにこもっていたのだが数分遅れで開始。閑古鳥が鳴くなか、初めの頃に丁寧に見ていただいた先生方には「解説が必要なところや質問があればおしらせください」とはアナウンスしたものの、声をかけるタイミングを失してしまう。前半にいろいろ見に行けていれば上手な人を真似できたのだろうけど(トイレから出られないのでどうしようもなかったのです)。後半、若い人や知り合いが何人か来てくれたタイミングで説明を始めて、だんだんしゃべれるようになり、最後にはすっかりリラックスして初対面の先生や学生さんとも楽しくお話しできた。

 

発表:上述のような急ごしらえの発表で、もとより稚拙なのだが、構想としては今までのプライベートな観察で、おそらくいえそうな仮説があった。しかし実際には、その仮説が全く言えないデータを採用したというか、使えるのがそれしかなかった。結論は「これだけでは何も言えない」。ある先輩は「フェスらしくていいんじゃない?」と言ってくれた。

 

ご覧になった先生方、先輩や同業者からは「ちゃんとやれば面白くなりそう」的なコメントをいただいて勇気づけられる。全く海のものとも山のものともしれない段階だったので、ちょっと今すぐは無理なんだけど今後必ずやろうと思われた。

 

そして最も意外だったのが、数は少ないながら何人かの若い人から非常にポジティブなフィードバックをいただけたこと。こういうところで、学部生や若い人たちがちょっとしたタネのようなものを出したものを、みんなで水をやったり日を当てたりして育てるみたいなのはまさにこんな集まりの目的に叶うところなのだが、私の場合は若くもなく学部生でも院生でもないというのがアレだというのは措いて、若い人が刺激を受けてくれた、なんかのきっかけにしてくれた。報われた思いでいっぱいになる。

 

なんとかしてドタキャンできないだろうかと思うほど何もできていなかったのに。自分の反省点はそれを書いていたらあさってまでかかるので書かない。発表者自身のプラスのインパクトというものを、忘れていた。最後は駆け込みでいくつかのブースに寄って、見られなかったポスターをいくつか送っていただいたりする。

 

「海のものとも山のものともわかりません」という代物を発表できる機会はあまりない。しかしもっていっただけで進む方向が見えてきたりして出した本人がびっくりである。私はまるっきり、初めて参加する若い人のようだった。そして、そういえば初心に返ってやろうと思ったのだった。いつまでもバカでいていいという訳ではないが、初心に返って悪いことはない。この機会があったからできたことだった。参加させていただいてありがとうございました。