日本ハムファイターズの謝罪文を添削した

もしも自分が北海道日本ハムファイターズの公式の立場を表明する責任者だったとして、広報がこういう原稿をもってきたらどう添削するだろうかということを考えてみた。「責任者として「読者の目線ではこう考えるのでは」という振りをする」という振りをしている。以下、出典元のない引用は以下による。

www.fighters.co.jp

 

ファンの皆様へ

差別動画の発信は不特定多数に向けられていた。ここで問われているのは、全世界に発信しているメディアで公開された出来事に対する球団公式としての姿勢である。批判を浴びているのは出来事そのものとは別に、球団の対応が、およそコンプライアンスのかけらもないと思わざるを得ないことである。これに対して弁明するのはファンだけではなく直接間接に傷つけた人々を始め、企業としての信頼を裏切った全ての人であろう。誰に対しての発信なのかを見極めること。

この度は、チーム成績も低迷する中、シーズン中にもかかわらず、

関係ないことは書かない。

チーム内の暴力問題ならびに球団公式ツイッター公開動画の問題で、皆様にご不快な思いやご心配をお掛けしまして、誠に申し訳ありません。今回の一連の件に関して、皆様からの数多くのご意見を頂戴し、真摯に受け止めております。

まず、中田選手につきましては、2018年シーズン終盤に、残留を求める数多くの皆様からのご声援を受けて3年契約を締結するに至ったにもかかわらず、その最終年度途中に、皆様に対して「ファイターズの中田翔」としての声を発する機会を設けぬままの退団となってしまい、皆様を失望させてしまったことを、深くお詫び申し上げます。

身内向けの発信はこの場では控え、別途ファンに宛てて真摯にお詫びしたほうがよいと思う。

今回、当球団ではトレード時の一般的な慣行に従い、今月20日に中田選手のコメントを公表し、移籍前の会見は控えさせて頂きました。しかしながら中田選手に「当面の間、一軍・ファーム全ての試合の出場停止処分」を通達しており、退団により当該処分を解除する手続きとなる以上、退団前に皆様への謝罪・説明の機会を設けるべきでした。

ここは、今回の事態は「一般的な慣行」じゃないだろうという点は措いて、まあよいとする。ファン宛ての文なので、これは全世界宛てとは別に発信すべきとは思うが内容についてはここでは問題にしない。

また、本年4月11日に公開した試合前の選手円陣動画において、差別的発言が収録されていたことを心よりお詫び申し上げます。差別的発言は、どのような状況、どのような間柄であっても、決して許されるものではありません。

ここまではよい。しかし、「収録されていたこと」が問題なのではないということは、一応言っておかないとならないだろう。収録ではなく、そもそも発言がなされたこと、その発言に対し周囲が注意をするわけでもなく容認、あるいは助長する行為、あるいは見ないふり、あるいはとっくに指導、改善すべきなのに放置等々を繰り返し、ファンや動画を見た人からの差別ではないかという指摘、コメント等は長期に渡って無視してそのまま動画を公開し続けていた、そのことが問題になっているのだから。何が問題なのかは誤解の余地なくはっきりと示す。

円陣内の個別発言について確認が至らないまま球団公式ツイッターでそのシーンを公開したことは、当球団の管理体制が不十分でした。

何回読んでもひどい認識ですね。今回問題になった時点では下記の記事にあるように「発言している選手の口元の動きまでは分からず、4カ月が経過し、誰が誰に対して、どのような意図で発言しているのかは確認できませんでした。」とか言っていたらしい。

「日サロ行きすぎ」発言、父がコンゴ人の日ハム・万波選手に? 球団「聞こえるが…」:朝日新聞GLOBE+

その場でそれはまずいのではないかと他の選手の発言もあったとあるように、関係者に事情を聞けばすぐにもわかること、そして内部では間違いなくわかっていることではないか。上の記事には「発言が差別を目的とした悪意あるものであったならば看過できませんが」ともある。差別を目的としなくても悪意がなくても内容が差別であったらだめなんですよというのが、差別はいけないと認識する第一歩ではないのか。「決して許されるものではありません」と言いながら誰が言ったのか確認しない。何人もの当事者がいて動画まで残っていて、当初から問題になっていたのに数ヶ月前を理由にわからないことにする。その選手一人を晒せというのではない。まず事実関係を確認しなくては反省のしようがないではないか。差別発言をした選手からも話を聞いて、ぶっちゃけ何なら許されると思っていたのか、今になって何が悪かったのかがわかったのか、その辺も聞かないで再発防止を徹底できるのか。思い込みではなく具体的なデータを示すこと。

今後は監督、コーチ、選手、その他役職員を含む全てのチーム関係者に対してコンプライアンス研修等を実施するとともに管理体制を強化し、再発防止を徹底して参ります。

当球団内でこのような問題が立て続けに起きてしまったを立て続けに起こしたことについて、皆様に心より謝罪申し上げます。

自然災害ではない。この事態を引き起こしたのは球団のコンプライアンスの甘さと言わざるを得ない。

今回の一連の問題を真摯に受け止め、暴力及び差別がどのような状況でも許されないことは当然のこととして、同じチームに所属する者同士が、年齢や成績や肩書等に関係なく、互いに相手を尊重し、1つのチームとして一致団結し、皆様に応援していただけるような試合とプレーをお見せすること、そのために全力を尽くすことを、改めて、監督、コーチ、選手その他役職員を含む全てのチーム関係者において徹底して参ります。

ファンじゃないけど、次はないぞと思う。

そして、当球団として「ファンサービスファースト」の原点に今一度立ち返り、皆様から愛される球団を目指して、活動を見つめなおして参りますので、何卒よろしくお願い申し上げます。

ファンサービスって。これがファン向けの文だということを考えても、それを今言うことか。結論は全体として何がいいたかったのかがはっきりわかるように、明確に主張を示すこと。