お勧めしません

ブクマでレビューを書くと言ったので書きます。ただしここでいうレビューは書評でもなく批判的な検討と提言でもなくただの読書感想文です。しかも全く誉める気にならないので、単に私が気に入らないってだけの話で、この私のレビューははっきり言って読む価値ありません。記録のために。「ぼくたちの外国語学部」黒田龍之助

ぼくたちの外国語学部

勿論筆者はちゃんとした言語学の先生であって、Dan Kogai氏とか金谷武洋氏のように言語学について適当にめちゃくちゃなことを言っている訳ではありません。事実関係について反論があるわけでもなくもともとエッセイだし別に何を言ってようが筆者の勝手であり、読者にとっては「勉強になる」とかそういうことでなくて、面白がるとか楽しんで本を読む、そういう読者を想定して書かれている類の本です。だから面白い人には面白いだろうし、感動する人もいるだろうけどこれは面白くないと思う人もいる。私がそうだった。

最初はそれでもまあ、好意的に読み始めた。アニメでもなんでもいいけどオタクの人が部外者に向けて面白くデフォルメした「アニヲタの世界」みたいなのを、あくまで外向けのサービス精神で書いたものを、内部の人が見てもあんまり面白くないかな、私が面白くないのは私が外国語学部出身だからかな、よく知っている世界を外向けに単純化して書いたものは別に当事者は面白くないよね、と出だしは思った。

ところが読めば読むほどいらいらが募り、さっぱり面白くなく、読むのが苦痛になる。すみません、好みの問題なんです。面白くない。

まず文体が嫌いだ。なぜかと言われてもなぜピーマンが嫌いなのかと同じでわからない。(ピーマンは好きですよ。)でも私には嫌いな文体があってそれは受け付けないのだから仕方ない。で、文章が面白くない。

たとえば戸田山和久とか野矢茂樹中島義道永井均田島正樹とか哲学者たちの雑文は私を酩酊させる。(ここに挙げた人たちが好きなのであって、ちっとも酩酊しない哲学者も多々あります。勿論)面白い。ずっとずっと読んでいたい。内容は実にくだらない物もあるのだけれど、なんでそんなに惹きつけられるのかといえば、やはり文章がうまいのである。雑文で読者をひきつけるには文体が洗練されていなくてはならない。黒田氏はくだらないことを面白がらせるという点において哲学者達の足元にも及ばない。出直してほしい。(何様)

自分語りも辟易する。芸に昇華されていないのよ。(だから何様)中途半端というか。それと最後の方に出てくる京大dis、「難関で知られる関西の某国立大学」とこういう伏せ方嫌い。京大と書いたらええやないか、誰が見たって京大なんやから。この本の中で唯一筆者と意見が一致したのは音楽には才能も興味も関心もほとんどない、というところだけだった。

あと一点興味深かったのは、黒田氏は「語学オタク」と呼ばれるのは嫌だという。オタクという呼称は蔑称で言語学者は言語オタクじゃない、みたいなことが書いてあった。職業言語学者はもとより、アマチュアでも私も含め言語学徒や外国語学部出身者は言語オタクが多くてみんなかなりイタいよね、という点ではその方面の友人達とは意見が一致していたのでこの先生がこれが嫌なんだ、というのは単純に興味深かった。

学生たちとの関わりについては、評価の分かれるところだろう。教育熱心とか生徒思いと評価する人もいればウザいと思う人もいる。私は後(ry 

いや実際に会ったらたぶんいい先生で傾倒するようなことになるのかもしれない。とりあえずこの本に関して言うなら面白くなかった。後でこの評価を取り下げたり訂正するようなことがあるかもしれないが、今時点の記録としてはこの辺りが偽らざるところである。

もしこの本が欲しい方がいたらご連絡をいただければほぼ新品でお譲りします。