奇跡を売り出し始めた「an.an」

再々追記
id:nagonaguさんの御指導により、タイトル等修正いたしました。結果またしてもブクマおよびスターを切ってしまい、ブクマやスターをいただいた皆様には重ねてお詫び申し上げます。下記が、同じ記事を編集中にいただいたブクマです。スターもありがたく拝見しております。

編集中に頂いたブクマ(その2回目)
http://b.hatena.ne.jp/entry/d.hatena.ne.jp/rosechild/20110604/1307149756
編集中に頂いたブクマ(その1回目)
http://b.hatena.ne.jp/entry/d.hatena.ne.jp/rosechild/20110603/1307121849

再追記
追記しようとして新しいエントリを立ち上げてしまったりごちゃごちゃして、せっかくいただいたぶくまやコメントの参照先を消してしまいました。御迷惑をかけて申し訳ありません。これが修正版です。

追記血液クレンジングについては碧猫さんが過去に突っ込んでいらっしゃいます。ご参照ください。御教示ありがとうございます。

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今だったら書店の店頭にも「an・an」のサイトのトップページ(リンクする気にならん)にも出てますので暇な方はご確認くださいなんですが、2011年6月8日号「an・an」の表紙の見出しは

奇跡のアンチエイジング

一瞬「女性自身」かと思った。特に「女性自身」を貶めるつもりはないけれど、こういう雑誌がパワーストーンだとか奇跡をよぶ財布だとかの広告でいっぱいなのはままあることで、そういう広告を前面に出していればメディアとしてはそれに見合った信頼しか得られない。

「奇跡」売り物にするのはおよそまともなメディアのすることではない。一方で、もしもまともな「アンチエイジング」というものがあるなら、それは奇跡でもなんでもない訳で、まっとうな理論と技術に従ってやっている(はずの)ものを奇跡と呼ぶのは失礼な話だろう。他方理屈はわからないが素人目には奇跡に見えるような「アンチエイジング」があるなら、恐らくはどこかにいんちきがあるのではないかと疑ってかかるべきではないか。ただのキャッチコピーのつもりかもしれないが表紙で奇跡を売り物にしているような雑誌を私は信用しない。

ここまでは、「まったくアンアンも落ちたものよ・・・」と思いつつ買う気はなかったのだ。何気なくぱらっと中を見てみたらパッと目に付くところにあったのが(以下引用は「an・an」2011年6月8日号より)この囲み記事だった

血液クレンジングで肌老化のもとを断つ!サビない体づくりを。

      赤坂AAクリニック院長 森吉臣先生(37ページ)

赤坂AAクリニックって、つい最近・・・ていうか今朝どこかで見た。あの「ビタミンC点滴とがんについて」が「わたしの周りでプチ流行」してたとこやないか。売り物はビタミンC点滴だけではなかったのか。

体がサビてるところって見たことないんですけど「サビない体づくりを」ってどうなの?私は生理学も医学も生物学にも素人だが一体「血液クレンジング」とはなんなのか。

血液クレンジングは、自分の血液にオゾンガスを注入することで、血液を浄化し、抗酸化力や免疫を高めます。人が本来持っている自然治癒力を高めるので、体の中から若返りますよ。(37ページ)

記事を見るとつまり採血して、その血に医療用オゾンガスを注入して、体内に戻すというのが一連の手順らしい。

血液に医療用オゾンガスを加え、溶解させると、黒ずんでいた血液も鮮やかな赤色に。このときに発生する脂質化酸化物が、血液を活性化する。(同)

素人考えなので間違っていたら御教示いただきたいのですが、血液にオゾンを加えたら黒ずんでたのが赤くなるってとこは、普通に血液が循環して心臓で酸素をとりいれて赤くなる(中学の生物の知識ですみません)のとどう違うんでしょう?採血して酸化させてまた体に戻すより、「何もしない」でおけば、勝手に循環して赤くなるんでないの?そのほうが体の負担も少ないように思うのだが。このときに発生する「脂質化酸化物」というのは具体的になんなんでしょうか?ただの血じゃないんでしょうか?血液が活性化するってどういうことなんだろう。化学的に不安定になるっていう意味じゃないよね?

とまあ、素人には判断できかねるこの「血液クレンジング」はトライアルで一回21,000円と結構なお値段がする。トライアルってことはお試し価格なんだろうから実際はもっとするのか。見開きページのすみっこに「治療費には初診料などは含まれていません」って小さく書かれているのも気になるところだが、しかし同じページで扱っている他の「クリニック治療」は27万3千円だの12万6千円というのもあるので、なんだか赤坂AAクリニックが安くて良心的にさえ見えてしまう。

どうよ、「an.an」。赤坂AAクリニックがネットでどのような宣伝をしているかは先にリンクしたNATROMさんの記事で示されたとおりである。ビタミンC点滴とがんについてが私の周りでプチ流行してなどというブログをいくつも作って宣伝してるところを「an・an」は持ち上げる。見開きの見出しはこうなっている。以下は同誌26ページの見出しを引き写したものだが、強調は私。

ここまで進んでいるクリニック治療奇跡が起きる!?現場に潜入。

アンチエイジング最先端の情報を持っている場所といえば、何といっても世界一の美容都市・東京のカリスマクリニック!今回、なかでも先進的な治療法を取り入れているクリニックを現場取材!今、一番 ”効く”技術をこっそり聞いてきました。

赤坂AAクリニックもビタミンC点滴とがんについてをプチ流行させてまで怪しいブログを増産することはなかったのだ。大手メディアのれっきとした週刊誌にカリスマクリニックとまで書いてもらえるのだから。この号全体がどこまでが記事でどこからが広告なのかわからないタイアップ記事らしきもので埋まっていることもあり、いまさら「an.an」に節操を求めようとは思わないが、もう「女性自身」路線で勝負するってことでよろしいでしょうか?「an.an」にこんなこと書いてたよ!って記事にしても「だって「an・an」じゃん」と誰も驚かない、噂にもならない、でも広告で稼ぐからいいよみたいな。表紙の「奇跡のアンチエイジング」はそういう宣言だと私は受け止めた。

これからは奇跡やさんとしてがんばっていただきたいと思う。